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デゴイチ宙に浮く トキ鉄直江津運転センターにSL到着 鉄道の町のシンボルに

4週間前

宙に浮く「デゴイチ」――。新潟県上越市のえちごトキめき鉄道直江津駅に隣接する直江津運転センターに2020年11月1日、蒸気機関車(SL)D51形が和歌山県から陸送された。約100tの黒い巨体は3分割されてクレーンにつるされ、トレーラーから降ろされた。同社はD51を「鉄道の町・直江津」のシンボルに位置付け、来年度から体験乗車などができる「直江津レールパーク」を開設する考えだ。

2台にクレーンでつるされ、動輪の上に降ろされるD51の運転室とボイラー
D51①

D51は鉄道輸送などを手掛けるアチハ(大阪市)が所有し、和歌山県有田川町の有田川鉄道公園で動態保存されていた1943年製造の827号機。岐阜県内の中央線を中心に走行し、1973年の廃車後は愛知県の鉄道愛好家が買い取り、約40年間保存していた。2017年にアチハが愛好家の遺族から購入し、石炭を使用せずコンプレッサーによる圧縮空気で動くように改造。客車を引いて同公園内で運行したこともあったが、1年ほどは倉庫で保存していた。

今回、トキ鉄がSLを生かした観光振興や地域活性化を目指し、観光庁の観光支援事業の採択を受けて補助金2000万円を活用し、借り受けた。自己資金約1000万円を加え、輸送費のほか転車台などの補修費用をまかなった。5年間のリース契約は更新も可能で、リース料は破格の月額20万円。圧縮空気で走るため営業路線は走行できないが、構内の約200㍍の線路を時速10㌔程度で走行できるという。

動輪部分もクレーンで降ろした
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D51の大きさは、全長約20㍍、高さ約4㍍、重さ約100㌧。陸送は運転室とボイラー部分、動輪部分、石炭と水を積んでいた炭水車に分け、車掌車と貨車を兼ねた緩急車、移動や連結で各車両を動かすためのディーゼル機関車も合わせ5台のトレーラーに積み込み、和歌山から約750㌔を32時間かけて運んだ。

積み下ろし作業はクレーン2台を使い、1台ずつ線路に降ろしては機関車に連結させ、転車台まで移動して向きを変え扇形庫に入れる作業を繰り返した。SLと言えば、黒煙をあげながら力強く疾走する姿が印象的だが、この日は分割されクレーンに持ち上げられ宙に浮くという、珍しい光景が見られた。

直江津運転センターの転車台に乗るD51形827号機
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トキ鉄の鳥塚亮社長は「地域の皆さんは『鉄道の町・直江津』に関心を持っている。D51で運賃収入が増える訳ではないが、鉄道や駅にもっと愛着を持ってもらうよう鉄道会社が努力するべきと考えた」と語った。

11月28日に関係者を招いてお披露目する。年度内はライトアップや体験乗車などのイベントも検討している。定期的な体験乗車は来年度からだという。

直江津運転センター