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アルコール、ギャンブル、ネット… さいがた医療センターが依存症治療開始 16日に「アディクション」フォーラム

6か月前

新潟県上越市大潟区の独立行政法人国立病院機構さいがた医療センターは、2018年8月からアルコールやギャンブルなどの依存症の専門治療を始めた。同院によると、代表的な依存症のアルコール依存症の患者数は全国で約109万人と推測されているが、治療を受けている人はわずか約4万人。同院では「依存症は回復できる」と治療を呼び掛けている。

さいがた医療センター
さいがた医療センター外観

依存(アディクション)とは

依存(アディクション)とは、特定の物質や習慣にのめり込み、心身の健康や日常生活に支障をきたしているにも関わらず、やめることができない状態をいう。依存の対象は多岐にわたり、アルコールや薬物などの精神作用物質の物質依存、ギャンブルや過食・拒食、買物、ゲーム、インターネット、恋愛、自傷行為など特定の行動に依存する行動依存(プロセス依存)がある。

依存症治療専門「Sai-DAT」(サイダット)

さいがた医療センターのアディクション(依存症)治療部門は「Sai-DATサイダット」(Saigata Division of Addiction Treatment)と呼ばれる。2018年4月に同院に赴任した佐久間寛之精神科診療部長(51)など専門医師2人を中心とした医療スタッフと自助グループや回復施設などの外部機関が連携し、治療プログラムを実施している。

Sai-DAT(サイダット)の佐久間寛之医師
佐久間医師

治療は外来もあるが、約3か月間の入院治療が基本。現在、常時5〜10人が入院していて、大半がアルコール依存症だ。全国的にはアルコール依存症は40代、50代の男性が多いが、同院では高齢の男性も多いという。

「楽しいからやっている」という誤解

佐久間医師は、日本のアルコール依存症研究の中心的な専門医療機関である独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターで医長を務め、2015年から約2年半、アメリカの国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)で依存症研究に携わった専門家だ。

「『依存症患者は楽しいからやっている』という誤解がある。依存症の本質は何らかのストレスやつらさ、苦しみから逃れたいという思い」と語る。依存の始めはアルコールや薬物、ギャンブルによって「楽しさ」や「快楽」を感じるが、やがてそれらは感じなくなる。楽しいからではなく、苦痛から逃れ、生きるために依存行為は続く。

依存症治療は“新しい生き方の再発見”

同院の治療プログラムは、依存症に関する正しい知識を学んだり、ストレスや生きづらさ、欲求への対処法を身につけるほか、絵画セラピーで自分の内面と対話したりグループセラピーで体験談を語り合ったりする。また依存症回復施設の入所者やスタッフから話を聞いたり、自助グループに参加したりする。家族が依存症や患者本人とのかかわり方について学ぶプログラムや家族相談も設けられている。

治療プログラムの様子(さいがた医療センター提供 *写真は一部を加工しています)
プログラム

長年慣れ親しんだものを手放すのは誰しも勇気がいる。それがその人が生きるために依存していたのであれば、簡単ではない。治療では「依存に頼らずストレスやつらさとどう付き合っていけばよいか」を、医療スタッフや自助グループの仲間の支援を受けながら、患者自ら見い出していく。

佐久間医師は「依存症は人が信じられない病気でもあり、治療ではアルコールや薬よりも人を信じてもらうことも目標。依存症に苦しむ人の“新しい生き方の再発見”の手助けをしたい」と話している。

3月16日に「アディクションフォーラム」

また依存症からの回復に欠かせないのが、医療機関と問題を抱える者同士の自助グループ、共同生活を行う回復施設、行政などの関係機関の連携だ。3か月の入院だけで依存症治療は終わらない。退院後に長く続く依存に頼らない生活を支援する輪が必要だという。

2019年3月16日には同院などが主催し、関係機関が集まる初の「アディクションフォーラム 上越」を新潟県立看護大学(同市新南町)で開催する。テーマは「つながる」。佐久間医師の講演や依存症当事者の体験談、自助グループや回復施設の紹介などを行い、依存症に苦しむ人やその家族を回復に導くメッセージを発信する。時間は午前10時〜午後3時30分。

さいがた医療センターのアディクション(依存症)治療部門「Sai-DATサイダットhttps://saigata.hosp.go.jp/addiction/index.html

フォーラムのちらし
アディクションフォーラムちらし