南葉山に連なる「城山」は上越市大和2(旧今泉)の飛び地 山頂で3年ぶりに神事

新潟県上越市と妙高市にまたがる南葉山に連なる山塊に、水力発電所の導水管が山腹を縦断した「城山」(標高283m)がある。戦国時代には山城の黒田城があり、江戸初期以降は5km以上離れた上越市大和2(旧今泉)の飛び地となった。山頂には石のほこらがあり、毎年5月に祭典も執り行われている。2022年5月22日、新型コロナウイルスの影響で中止されていた「城山神社山頂祭」が3年ぶりに開かれた。

県営高田発電所の導水管がある城山。赤い円が山頂のおおよその位置

大和地区5町内の共有地

城山は上越市大和地区の旧今泉、土合、脇野田、七ヶ所新田、荒町の5町内の共有地で、旧今泉の大和2丁目町内会などが中心となり山の管理を行っている。現在は共有地住民の山菜採りのほか、山城巡りなどの登山で入山する人がいる程度だが、戦後各家庭にガスコンロが普及するまで大和地区の人々がまきを採取したり、家畜の牧草を採ったりと生活にかかせない山として利用されてきた。

城山山頂から高田平野の眺め

江戸後期に山頂に石のほこら建立

山頂のほこらは江戸後期の1816年(文化13年)に今泉の先人が建立したもので、鳥居も設置され、関係住民の手により毎年祭典が行われてきた。2013年には上越市の地域活動支援事業の補助金を活用し、ほこらに石の台座を付け、山頂を示す石柱を設置。山頂部の周りにめぐらされた山城特有の深い堀切には鉄パイプ製の階段と手すりを設置するなど登山道の整備も行った。

山頂に建立されている石のほこら

山頂祭には、旧5町内の大和1、2、3、5・6町内会と農家組合の代表ら約20人が参加。山の恩恵に感謝してほこらを建立した先人の遺徳をしのびつつ、城山の安全と大和地区の発展、五穀豊穣(ごこくほうじょう)などを祈願した。

共有地5町内の関係者が参加した城山神社山頂祭

麓の県営高田発電所脇では本祭

城山神社の祭典は、1971年から山頂祭のほか麓の高田発電所脇で「本祭」も執り行われている。本年度から2028年度まで県営の水力発電所、高田発電所(同市今泉字城山)の大規模改修工事が行われることなどから、県や工事関係者も今回初めて本祭に参加し工事の安全も祈願した。工事中は発電所周辺が立ち入り禁止となるため、本祭はしばらく中止するという。

大和2の石平春彦町内会長(68)は「(城山を管理し毎年祭典を行うのは)生活文化の継承であり、しっかり次の世代に引き継いでいきたい」と話した。

山頂の城山神社に向けて祝詞を奏上した本祭

城山山頂への行き方は?

山頂への行き方は2通りあり、南葉高原キャンプ場に向かう林道難波線脇から登山道を約20分歩く方法と高田発電所導水管脇の管理用の長い階段を約30分登ったあと藪に覆われた山を登る方法がある。*下記地図のルートは概略。

【登山道ルート】林道脇からの登山道には、途中数か所の標識があり、最後に堀切に設置された鉄パイプ製の階段を登る。

登山道の途中にある標識

山頂手前の鉄パイプ製階段

【導水管階段ルート】高田発電所の奥には、導水管の階段の手前に城山の説明看板と登山口の石柱がある。

高田発電所奥にある説明看板と石柱

導水管の管理用階段