「敵に塩を送る」上杉謙信の故事にちなむ上越市の「義の塩」復活へ

戦国武将、上杉謙信が宿敵武田信玄に塩を送った「敵に塩を送る」という故事にちなみ、6年前まで新潟県上越市長浜のたにはま海水浴場などで製造されていた天然塩「義の塩」の復活プロジェクトがスタートした。塩作りを引き継ぐNPO法人が2026年5月に設立され、2027年4月から本格的な塩の製造を予定している。

かつて販売されていた「義の塩」のパッケージ(左)と6年ぶりに製造された義の塩

谷浜地区の塩作りのルーツは戦国時代とされる。2002年に地元の谷浜観光協会が約50年ぶりに塩作りを復活し、販売していたのが義の塩だ。海水を煮詰め、水分を蒸発させて塩を作る直煮(じきに)や、イベントなどではたにはま海水浴場に塩田を作り海水をまく揚げ浜式も行うなど、昔ながらの製法を採用。郷土の英雄、謙信の故事にちなんで義の塩と命名され、土産品としての販売のほか、菓子やパン、ラーメンなど地元のさまざまな加工品にも利用されていた。

しかし、高齢化や後継者不足などで同観光協会が2020年3月に解散。その後は塩作りは行われていなかった。

設立されたNPO法人「義の塩谷浜本舗」(石黒孝良理事長)は、長年義の塩の復活を願ってきた谷浜地区や謙信の顕彰活動に取り組む市民10人で構成。かつて使用していた海水浴場に隣接したプレハブの製塩施設を活用して、塩作りを行う。イベントなどでの揚げ浜式の実施も検討する。

製塩施設で試作品を紹介する石黒理事長

本年度は製造器具の準備などを経て、10月から試作を行い、2027年4月から月3、4回程度の塩作りを本格的に行う。初年度は270kgの生産と販路拡大を目指す。また塩の生産だけでなく、地域の食文化の継承や特産品開発なども行っていく計画だ。

2026年6月28日、たにはま海水浴場の安全祈願祭に合わせて、NPO設立と復活プロジェクトが発表された。

たにはま海水浴場の安全祈願祭に合わせて義の塩復活を発表した

旧谷浜観光協会の副協会長として、かつて塩作りに携わり、NPOの副理事長を務める坪田剛さん(77)は「どうしてもまた義の塩を作って谷浜を活性化したいと考えていた。これから大変になるが、義の塩を愛してほしい」とあいさつした。

試作として6年ぶりの義の塩作りを行った石黒理事長(78)は「ミネラルも入っており、味がまろやかで、とてもおいしい」と話し、「義の塩を使った商品展開やふるさと納税、神事での利用などを呼び掛けていきたい。(塩を通して)謙信公の義の心をさらに理解してもらえれば」と語った。

義の塩は谷浜の海水から作られる