3年前に火災で全焼した新潟県上越市大貫2の割烹(かっぽう)旅館「晴山荘」が2026年6月、再建に向けて動き出した。代表取締役で料理長の小菅雅晴さん(41)は、火災直後は「おわびや償いしか考えられなかった」というが、火災前と同じ金谷山の麓での再建を目指しクラウドファンディング(CF)を始めた。

火災は2023年5月、夜に厨房(ちゅうぼう)にあったまかない料理を作った鍋から出火した。幸い宿泊客や従業員は無事だったが、自宅兼旅館が全焼した。

晴山荘は元銀行員だった小菅さんの祖父、晴源さんが「金谷山を盛り上げたい」と、1960年(昭和35年)に開業。父、英晴さんの代で割烹旅館となり、小菅さんが京都での料理修業を経て帰郷後は京懐石を提供していた。

小菅さんは火災の1週間後に予定されていたイベントに迷いながらも出店し、焼け残った卵焼き器でだし巻き卵を作り販売。「晴山荘の料理をまた食べたい」という、客や飲食店仲間の励ましの言葉を受けて再建を決意した。
その後3年間は、妻で女将の桂子さん(40)と料理店でのアルバイトやイベント出店、出張料理などを行いながら、再建策を模索。建築費の高騰から旅館の建設を断念し、カウンターとテーブルで20席あまりの和食店とし、個室を設けて1日1組のみ宿泊できるようにした。京懐石をメインとしつつ、ランチタイムにはイベント出店などの経験を生かして気軽な料理も提供していく考えだ。

約1億2000万円の建築費のうち、1億1000万円は自己資金や火災保険、金融機関の融資で調達し、不足する1000万円をCFで募る。失火の責任感からCFに頼ることをためらっていたが、建築費の高騰が続くため、やむなく支援を呼びかけることにした。支援金は駐車場や庭などの外構工事や厨房機器やテーブル、椅子などの購入費用に充てる。

CFは7月25日まで。建築費を抑えるためCFと同時進行で工事に着手し、2027年3月のグランドオープンを目指す。
小菅さんは「人と人とのつながりで多くの方が支えてくれたおかげで、再建に向かう決意ができ、感謝したい。新たな晴山荘でお客さまに恩返ししたい」と話した。
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