閉校した上越市の旧安塚中で「クルマエビ」養殖 2027年秋初出荷目指す

2024年3月末に閉校した新潟県上越市安塚区石橋の旧安塚中の校舎で、民間企業によるクルマエビの陸上養殖が計画されている。早ければ2027年10月頃に初出荷となる見込み。雪深い中山間地にある廃校で海産物を育てるユニークな取り組みとなりそうだ。

クルマエビの陸上養殖が計画されている旧安塚中の校舎

クルマエビの陸上養殖を計画しているのは、再生可能エネルギー事業などを手掛ける「プロスペックAZ」(名古屋市)。廃校舎の利活用を進める同市の公募型プロポーザルで優先交渉者に選定された。

同社は「作ったエネルギーで新しいモノを作る」観点から食料生産にも取り組んでいる。台湾でエビの養殖技術を確立させた台湾海洋大学の協力を得て、2025年6月から山口県の内陸部にある美祢市の廃校舎や元縫製工場を活用してクルマエビの養殖事業を展開。今年1月に初出荷している。

地元説明会には40人が参加した

2026年4月28日には市と事業者による地元説明会が開かれ、住民40人が参加した。同社の説明によると、旧安塚中の校舎や体育館、土地を市から借り、校舎1階に直径5m、水深70cmまで海水を入れた円形の水槽13基を設置予定。校舎2階と3階は出荷前の加工場や事務所、住民の交流スペースなどとして利用し、校舎屋上には太陽光発電設備の設置を検討する。

水槽を設置する教室はそのまま利用。日本海から海水を運び込み、稚エビから出荷までの約4〜6か月の生育期間内は完全循環で排水は行わず、塩分濃度を一定に保つため蒸発分だけ上水道を追加する。エビの出荷後は希釈して下水道に排出する。出荷量は年間で約7万〜8万匹を予定している。

3階建ての校舎1階に養殖水槽を設置する

同社によると、近年天然クルマエビは大幅に漁獲量が減少、生産量のほとんどを占める陸上養殖もウイルスなどの影響で出荷量が減っている。このためウイルスなどの外的要因を可能な限り遮断し、水温管理ができる屋内の養殖が適しているという。

生産されたクルマエビは市場には出さず、地元で消費することで、「地域ブランド化」を図る。同社の石川正樹専務取締役は「クルマエビは日本の大切なブランドだが、今は市場の流通が大変少ない状況。地元のレストランやスーパーなどで消費し、地域と一緒になって『安塚のクルマエビ』のような地域ブランドにしたい」と話している。

市によると、市議会6月会議に市有財産の貸付契約の締結を提案し、年内には文部科学省の承認を経て契約締結の予定。順調にいけば、養殖施設の設置工事などを経て、2027年4月頃から養殖を開始する計画だ。

www.prospec-az.com