断水回避も「初動段階の情報発信に課題」 上越市ガス水道局が昨夏の渇水対応を検証

新潟県上越市ガス水道局は2025年夏の渇水対応の記録と検証結果を公表した。県営高田発電所の水管破断事故と記録的少雨が重なった特異な事態の中、市民や事業者、関係機関の理解と協力で「断水」を回避できたとしつつ、渇水の兆候が表れ始めた初動段階での情報発信の在り方などに課題があったとした。

渇水時の正善寺ダム(2025年8月5日撮影)

約4万6500世帯に節水要請

昨夏の渇水は、4月に高田発電所の水管破断事故が発生し、旧上越市域の約6割に水を供給している城山浄水場への原水の流入が途絶えたことに加え、6月27日から8月5日にかけての降水量がわずか0.5mmにとどまったことが追い打ちをかけた。

水がめの正善寺ダムの水が減り、7月15日から9月4日までの52日間にわたって、高田、直江津など約4万6500世帯約10万8000人に、40%の節水要請が出された。同市は断水を回避するため、6か所の消雪用井戸から配水管で城山浄水場と正善寺浄水場をつないだほか、給水スポットへの応急給水などを実施した。

対応成果に記者説明会

検証結果は2026年3月31日に「令和7年渇水の記録」として同局のホームページに掲載した。A4判71ページにわたり、水管破断事故の発生から渇水対応に伴う全ての緊急工事が完了するまでの経過を克明に記した。節水対象地域内外の市民1072人から回答があったアンケートの結果もまとめた。

渇水対応の成果として、節水要請以降11回にわたって開いた記者説明会を挙げた。報道機関と渇水の状況や市の対応をリアルタイムで情報共有したことで、市民の理解と節水行動につながったと評価した。目標の40%には届かなかったものの、30%超の節水率を達成したことが断水回避の最大の要因だったとしている。

上越市ガス水道局がまとめた「令和7年渇水の記録」

「節水の注意喚起遅すぎる」

一方で、節水要請を行うまでに渇水に関する情報発信はなく、市民アンケートの自由記述欄には初動の情報発信に対して厳しい批判が相次いだ。「とにかく節水対応の注意喚起が遅すぎると感じた」「ダムの水が毎日1%ずつ減っていく段階で急に言われても困る」「そもそも春に事故が起きた段階で周知すべきだった」などの意見が寄せられた。

同局は明らかになった課題として、▽渇水の兆候段階からのより早い情報発信の必要性▽節水要請や対応判断の基準や段階が分かりにくい▽給水スポットの場所、利用方法、運搬負担▽高齢者や移動が困難など、配慮が必要な人への支援――を挙げた。

今後は、渇水対応の段階的な判断基準の明確化や、市民に唐突感を覚えさせず事前準備を促す早期の情報提供などに取り組み、今回の渇水対応で得られた教訓を次の渇水や災害対応に確実に生かしていくとしている。

「令和7年渇水の記録」

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