新潟県上越市出身の美術家、舟見倹二さん(1925〜2020年)の生誕100年を記念した回顧展「舟見倹二 ストライプの彼方へ」が、高田城址公園内の小林古径記念美術館で開かれている。公立美術館では初となる回顧展で、約100点の作品を通し、舟見さんの軌跡をたどる。2026年6月21日まで。

舟見さんは旧高田市に生まれ、父親が陸軍将校の社交場「高田偕行社」(現在の小林古径記念美術館が建つ場所)の舎監を務めていたため、一家は西洋建築の偕行社で生活した。少年時代、高田練兵場で複葉機に搭乗した体験から模型飛行機作りに没頭。これらの体験が後の美術家としての歩みを進めるきっかけになったという。戦時中の繰り上げ卒業を経て中島飛行機へ就職。終戦後は郷里へ戻り、教職の傍ら制作に励んだ。
舟見さんの制作歴の主軸は、1970年代、40歳頃に始めたシルクスクリーン版画。「space空間」シリーズ発表後、「ストライプ」へと展開し、叙情性や物語性を排除した無機質なモノトーンの抽象世界へと変容した。やがて鮮やかな色彩とグラデーションが加わり、異素材を組み合わせたコラージュなど、表現は広がっていった。版画制作は晩年まで続いた。

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76歳からは、父の遺品や昭和の日常品などを約30cm四方の箱に封じ込めた「ボックスアート」にも取り組み、95歳で亡くなるまで、上越を拠点に旺盛な活動を展開した。

会場では全3章にわたり、油絵、シルクスクリーン、ボックスアート、木工クラフトまで多彩な作品を展示した。シルクスクリーンは、国内外の版画公募展で入選を重ねた全盛期の「ストライプ」版画から、選りすぐり8点を飾った。市川高子学芸員(50)は「高田にこれほどにも素晴らしい作家がいた。作品も人生も、ぜひ多くの方々に知っていただきたい」と話す。

期間中、4月12日と6月6日には市川学芸員による解説会、5月2日にスライドトークを実施。5月31日にはシルクスクリーンの体験講座も行われる。対象は午前が小学生(3年生以上)、午後が中学生以上のそれぞれ12人ずつ。4月21日午前9時からメールで受け付ける。先着順。材料費として1500円が必要。

開館は午前9時〜午後5時。観桜会期間は午後7時まで。月曜休館だが、4月30日、5月4、7日、観桜会期間中は開館。入館料は一般510円、小中高生260円。幼児、市内の小中学生は無料。5月17日は国際博物館の日にちなみ、入館無料となる。
