誰もが一緒に楽しめる「バリアフリー演劇」初上演 上越文化会館で6月1日

視覚や聴覚など障害の有無にかかわらず楽しめる「バリアフリー演劇」が2025年6月1日、新潟県上越市新光町1の上越文化会館で初めて行われる。舞台に溶け込む手話や音声ガイドのほか、事前にステージに上がって装置に触れられるなど、新しい芸術体験ができる。

手話通訳者(左)や字幕を交えて行うバリアフリー演劇(東京演劇集団風提供)

必要な人にのみ舞台端やイヤホンなどから届けられていた従来の情報保障とは異なり、登場人物の一人として舞台を駆け回りセリフや場面を表現する手話通訳者、舞台装置や背景に取り込んだ字幕、ライブで場内に流れる音声ガイドなど、誰もが没入感を味わえる仕掛けが特徴のバリアフリー演劇。開演前にはステージに上がり、装置などに触れられるほか、役者が声や足音を聞かせて自己紹介するなど、より身近に舞台を体感できる工夫がされている。

役者の動きに合わせてライブで行われる音声ガイド(同)

公演を行う劇団「東京演劇集団 風」は、2018年からバリアフリー演劇に取り組み、障害の当事者らと共に4作品を制作。当初は特別支援学校や福祉施設の巡回が中心だったが、共生社会の実現などを目指して全国の公共施設などにも広げ、県内では今回が初上演となる。

同劇団の俳優で代表委員の西垣耕造さん(59)は「上演中に声を上げてもいいし、舞台に上がって来る人がいれば一緒に演じる。舞台と客席のバリアも取っ払って、自由に楽しめる」と魅力を語る。また「色々な人が集い、全員で共有できる空間を広げていきたい」と力を込める。

「全員で共有できる空間を」と話す西垣さん(左)と栗岡館長

上演作「Touch〜孤独から愛へ」は、孤児の兄弟が謎の紳士ハロルドと出会い、共に暮らし触れ合う中で心を開き、成長していく物語だ。

同館の栗岡秀明館長は「全ての人が一緒に楽しめる新しい演劇のジャンルをぜひ見て知ってもらいたい。今後も継続して行って、皆で育てていく公演にしたい」と話している。

公演のちらし

午後1時開場。入場後は誰でも自由にステージに上がれる。同1時40分からは役者による舞台説明がある。同2時開演で、終了後には小道具に触れたり、役者と交流したりできるバックステージツアーがある。

チケットは全席指定で一般3000円、障害者と介助者、学生は1500円。18歳以下は無料招待、その保護者1人は半額とする。同館ホームページなどで申し込みが必要で、予定枚数に達し次第終了となる。問い合わせは025-522-8800

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