新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案に対し、花角英世知事は2025年4月8日、「再稼働の是非については『賛成』または『反対』の二者択一の選択肢では、県民の多様な意見を把握できない」などとする意見を公表した。明確な賛否は示していない。花角知事の意見を付した条例案は16〜18日の臨時県議会で審議される。
柏崎刈羽原発の再稼働を巡っては、市民団体の「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」(世話人・水内基成弁護士など)が3月27日、14万3196人分の有効署名を提出し、花角知事に対し条例制定を直接請求していた。
公表された花角知事の意見では、約14万3000人の県民の署名によって請求されたことについて「意義を大変重く受け止める」とした上で、2項目の課題を挙げた。
再稼働の是非については、国のエネルギー政策上の必要性や安全性、東京電力への信頼性など多岐にわたる観点から議論されているほか、地域の経済や雇用、財政、国全体の経済・産業の発展、地球温暖化対策など「広範で複雑な問題」であるとし、県民からはこれまで単なる賛否だけでなく、「条件付きの賛否」「県議会で議論し結論を出すべき」といった意見も寄せられていることから、二者択一で選ぶことは「県民の多様な意見を把握できないと思われる」と指摘した。
また条例案の執行上の課題として、公務員も含め誰でも自由に県民投票運動を行うことができるとしていることが国家公務員法や地方公務員法に抵触する可能性があることや、開票事務の主体が整理されていないことを挙げた。選挙管理委員会が行うとしている県民投票の開票事務についても、「市町村に処理させることはできない」ため、県内すべての開票事務を県選管で担うのは極めて困難とした。
臨時県議会での条例案の採決は18日に行われる。審議の模様はインターネットで中継される。