新潟県上越市居多に新たな「上越斎場」が完成し2024年11月29日、竣工式が執り行われた。中郷区産の杉を使用し、雁木造りをイメージした奥行き約14mの大屋根付きの車寄せが特長で、雨や雪からひつぎを守り、2家族同時に霊きゅう車やバスが停車できる。12月2日から供用を開始する。
現斎場が建設から今年で39年が経過し老朽化していることや、団塊世代の死亡の増加で年間約2500件が予想される2035〜39年の火葬需要のピークに対応するため、現斎場から市道を挟んだ北西側に、昨年6月から建設工事が行われていた。
敷地面積は約8000平方m、鉄筋コンクリート一部鉄骨造2階建てで、延べ床面積は約2400平方m。総事業費は、現斎場の解体と跡地の散策路や駐車場整備を含め約25億3000万円。
火葬炉は現斎場より1炉増えて5炉となり、同時に2炉が使用可能。性能アップで告別から火葬、収骨までの所要時間は45分短縮され1時間45分となった。これらのことから1日の受入件数は現在の11件から15件に増加した。
告別室3室、収骨室2室、待合室5室、告別収骨室1室のほか、キッズコーナー付きの待合ホールや授乳室、おむつ交換室が2か所ずつある。通夜や告別式をせずに火葬のみを行う「直葬」に対応した多目的室1室も設けた。駐車台数は普通車40台、マイクロバス5台で、現斎場の解体後はさらに普通車15台と大型バス3台が増える。
エントランスホールは化粧壁で区切って二つの通路とすることで、遺族同士が交錯することなく通行でき、プライバシーに配慮しながらスムーズに故人を見送ることができる。全体的に和風モダンのデザインで、蓮をモチーフにした猪俣美術建具店の化粧格子や吉田バテンレースのテーブルクロス、イラストレーターひぐちキミヨさんの絵画、ファラジの装飾硝子(ガラス)など、地元の工芸や芸術品なども使用している。
現斎場の2023年度の火葬件数は約2300件だった。関係者約30人が出席した竣工式で中川幹太市長は「上越斎場は市内の火葬件数の8割を担う。日本海を望む自然豊かな場所で、遺族が故人をしのび厳かに見送りをしていただける新たな環境ができた」とあいさつした。
業務委託する上越市環境衛生公社の竹内仁理事長は「斎場はご遺族と亡くなられた方の最後の場となる大切な施設。ご遺族が心置きなくお別れができるよう務めたい」と話した。
新「上越斎場」の場所