上越市牧区の秘湯「鷹羽鉱泉」が復活 “一山”を貸し切り露天風呂やサウナを満喫

新潟県上越市牧区の山間にある秘湯「鷹羽鉱泉」。約10年前に廃業していたが、同鉱泉を愛するグループによって再建が進んでいる。来春には“一山貸し切り”のプライベート空間で露天風呂やまきストーブサウナを備えた宿がオープン予定だ。

新装する鷹羽鉱泉(鷹羽鉱泉提供写真)

高田市街地から車で約40分。標高約600mの牧区宇津俣にある同鉱泉は、「タカがけがをした羽を治した」という言い伝えがあり、江戸時代は宇津俣湯として知られる古い温泉場だった。頸城平野、日本海、佐渡島などを眺めながら浸かることができる露天風呂の泉質は硫化水素泉。1日当たり約1万2000lを自噴し、冷鉱泉を天然ガスで沸かす。湯温は42〜44度ほど。高血圧、動脈硬化、末梢循環障害、リウマチなどに効果があるとされるほか、肌がつるつるになる「美肌の湯」としても知られる。

天然ガスで加熱する露天風呂は自然や景色を楽しめる

同鉱泉は以前、コイや山菜料理も提供するなど、県内外から秘湯マニアらが訪れていた。前経営者が高齢で、後継者がいないことから、多くのファンに惜しまれつつも廃業したという。

廃業後、同鉱泉を守るために市内の40〜70代で構成する鷹羽鉱泉愛好会の「鷹羽会」が再開に向けて立ち上がった。再建のさなか、2019年の台風19号で同鉱泉に続く道路の崩落や敷地内への土砂流入、冷鉱泉を加熱する天然ガスの管の断裂など、自然災害にも見舞われたが、会のメンバーらで懸命に復旧に当たり、営業に向けての見通しもついたという。新たにオープンする施設は会の一人で上越市頸城区出身の宮本祐希さん(44)が代表を務める不動産会社「Мクリエイト」(富山県魚津市)が運営する。

まきストーブサウナ

新施設は昔と変わらない石の露天風呂、サウナブームを受け、まきストーブサウナを導入したほか、湧き水、鉱泉の2種の水風呂も設置した。ハンモックやアウトドアチェアも備え、自然に囲まれた空間で絶景を眺めながら「ととのう」を体験できる。

湧き水と鉱泉の水風呂

ハンモックやアウトドアチェアも利用できる

宿泊棟はスタイリッシュなたたずまいでリゾート感満載。軒下ではバーベキューもでき、室内は全員が一堂に集まることができる土間スペースを設置した。宿泊スペースは2部屋あり、1グループ9人までが過ごせる。内湯はないが、シャワーブースを取り付け、洗面所、水洗トイレを完備した。

天気が良い時は寝室の大きな窓から絶景が望める(鷹羽鉱泉提供写真)

宮本さんは「星空が最高です。日頃の疲れた体をいやしてほしい」と話すほか、「関田山脈の中腹にある誰もいない“ポツンと一軒宿”。人目を気にせずにゆっくりと過ごしてもらえたら」とピーアールしている。

美しい夜景(鷹羽鉱泉提供写真)

オープンは来春の雪解けを待ち、来年5月のゴールデンウィーク以降の予定。来年1月までにホームページが完成予定。オープンに向けての様子はインスタグラムでも随時発信している。

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