新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を問う県民投票の実施を目指し、市民団体による県民投票条例の制定を求める直接請求の署名活動が2024年11月1日から始まる予定だ。活動に賛同する上越市民らが9月21日、同市土橋の市民プラザで集会を開き、署名を集める受任者を増やすことなどを確認した。同様の署名活動は2012年にも行われており、12年ぶりとなる。
柏崎刈羽原発を巡っては、国が立地自治体の県と柏崎市、刈羽村に再稼働の同意を要請している。花角知事は県民の意見を聞いた上で自らの考えを示し、「県民に信を問う」との考えを表明しているが、具体的手法については名言していない。
直接請求を計画しているのは、脱原発の立場で活動してきた県民らによる「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」(略称:県民投票で決める会)で、2022年の県知事選挙に立候補した片桐奈保美さんや近藤正道元参議院議員などが世話人を務める。
直接請求には2か月で県内有権者の50分の1に当たる約3万6400人分(9月1日現在)の有効署名が必要。同会によると、11月から署名活動を行い、有効署名数が集まれば、来年3月頃に条例提案を知事に直接請求する。署名提出を受けた知事は4〜5月頃、県議会の臨時議会に条例案を提案し、可決されれば条例が制定され、県民投票が実施されることになる。
この日の上越市の集会は、「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会・上越」(略称:県民投票で決める会・上越)が署名活動開始に向けた「キック・オフ集会」として開催し、約50人が参加した。
県民投票で決める会の事務局の吉田裕史さんが、「署名の数を集めても県議会が問題で、保守の人、自民党の人、原発再稼働大賛成の人も署名活動に加わらなければダメだという声があった。中間の方やよく分からない方、賛成の人も反対の人も、県民のことは県民で決めるということをしっかり踏まえてやっていく」と述べ、12年前は県議会で条例案が否決されたことを踏まえ、県議会対策をプロジェクトチームで行っていくと説明した。
参加者からは「趣旨を分かりやすく説明したパンフレットが必要」「(再稼働に)賛成する人であっても、県民の意思で動かす動かさないというところを決めていきたい。署名数を達成するだけでなく、圧倒する数を集めたい」などの声が上がっていた。
同会では全県で20万人、上越市で約1万7000人の署名数を目標としており、請求代表者の一人で世話人を務める市民連合・上越の片岡豊さんは「過酷事故が起これば、影響は末代にまで残るということを直視し、自分の問題として考えてほしい」と話した。
2012年に市民団体「みんなで決める会」が行った署名活動では約6万8000人分の有効署名を集め、2013年1月に県民投票の条例案が県議会に提出されたが否決されている。
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