へんてこで特別な世界生み出す「大塚いちお展」 上越市出身のイラストレーター

新潟県上越市出身のイラストレーターで、NHK・Eテレの幼児向け番組「みいつけた!」のアートディレクションなどを手掛ける大塚いちおさん(55)の展覧会「大塚いちお展 へんてこで特別!」が、同市本城町の小林古径記念美術館で開かれている。愛らしいキャラクターや遊び心あふれる世界を生み出してきた大塚さんの仕事を、原画や設定資料など貴重な展示で紹介する。2024年11月24日まで。

キャラクターの像やパネルが出迎える大塚いちお展

同市鴨島出身の大塚さんは、県立高田北城高校卒業後に上京し、グラフィックデザインの専門学校に進学。フリーのイラストレーターとして書籍の挿絵や装丁、広告などを手掛け、有名な広告賞などを受賞した。

報道機関向け内覧会で展示について話す大塚さん

Eテレ「みいつけた!」では2009年の番組立ち上げからアートディレクターとして参加。キャラクターやスタジオセットのデザインなど、イラストにとどまらず美術全般を指揮し、以降はアートディレクションの仕事も多く手掛ける。地元でも精力的に活動し、上越妙高駅お出迎えキャラクター「ウェルモ」のデザインや、上越市仲町4のコーヒーショップ「DIGMOG COFFEE(ディグモグコーヒー)」の運営などを行っている。

「みいつけた!」のキャラクターグッズ

美術館での展覧会は今回が初めて。会場ではキャラクターの像やパネルが出迎え、「みいつけた!」のスタジオセットを背景に撮影できるスペースもあるなど大塚さんワールドが広がっている。これまでに手掛けた書籍やポスター、雑誌の表紙を飾ったイラスト原画、デザインのラフ案やキャラクターの設定資料など185点を展示。「ファミリーアートディレクター」を務めるJリーグ・川崎フロンターレのユニフォームやグッズ、小中学生時代に描いた漫画や絵画もある。

これまでに挿絵や装丁を手掛けた書籍や学生時代の作品など

アートディレクターを務めた仕事では広告ポスターの指示書も展示

川崎フロンターレのユニフォームやグッズ、「メーカブー」の人形も

大塚さんは「アートディレクターはプレイヤーのイラストレーターを監督する役目。二つの仕事を説明するのは難しいが、ここまでの仕事を通して見ることで感じてもらえることがあると思う。上越市がこういう作品を作る人を生んだ町だと感じてもらえたらうれしい」と話している。

「オフロスキー」のパーカーを着て撮影できる

キリンの缶ビールなど名だたるアートディレクターとの仕事でイラストを手掛けた

また、本展をきっかけに小林古径記念美術館のキャラクターとして、古径の愛犬をモデルにした「BONBON(ボンボン)」を制作。館内廊下でモデルの一つとなった古径作品と併せてイラストを展示し、ポストカードも販売している。

「ゆうれいのように戻ってきた?」不思議なキャラクター「BONBON」のイラスト(左)とモデルの一つとなった古径作品

10月26日には大塚さんが作品について語るイベントも開催。2回制で親子対象が午前11時から、一般対象が午後2時から。申し込み不要で誰でも参加できる。

開館時間は午前9時〜午後5時(庭園紅葉ライトアップ期間の11月14〜24日は午後7時まで)。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料700円、小中高生350円。幼児と上越市内の小中学生は無料。

小林古径記念美術館

www.city.joetsu.niigata.jp