新潟県上越地域の医療体制を県や地元3市、医療関係者で検討する上越地域医療構想調整会議が2024年8月30日、上越市で開かれ、医師不足を背景に2025年度中とされていた新潟労災病院(上越市東雲町1)の閉院は、2026年3月末とすることを確認した。同院の医療機能は上越市内の6病院に移行される。専門的診療を行ってきた歯科口腔外科は上越市が運営する上越地域医療センター病院(同市南高田町)に移行し、2026年度に開設される予定。
会議では医療機能の受け皿病院や設置者で確認した、新潟労災の閉院を含む短期医療再編の期日を「2026年3月31日」とすることが報告され、了承された。オンラインで会議に出席した新潟労災を運営する独立行政法人労働者健康安全機構(神奈川県川崎市)の久知良俊二理事は「受け入れなどの調整を進めていただき、再編期日が共有できたことは大きな前進。再編が完了するまでの間は患者さんが必要な医療をしっかりと受けられるように新潟労災の診療継続に努めていく」と述べた。
受け皿病院のうち、歯科口腔外科と回復期リハビリテーション機能の一部を受け入れる上越地域医療センターは、上越市が2029年度までに現地で建て替える計画を進めているが、新潟労災の閉院に伴い建て替え前に改修工事を行う。
同市が公表した改修計画によると、上越地域医療センター内の在宅医療支援センターをカルテ保管庫と上越市福祉交流プラザ(寺町1)に移転し、現在宅医療支援センターを歯科口腔外科に改修する。在宅医療支援センターの移設工事は本年度に実施し、歯科口腔外科への改修は本年度に実施設計、2025年度に工事を行う。歯科口腔外科の開設時期は2026年度中で、建て替えのため4年程度で使用を終える。
機能移行に伴う改修費や医療機器購入などの全体事業費は約5億5600万円。8月23日の定例会見で中川幹太上越市長は「医療再編に伴う国や県の支援を最大限活用したい。患者の増加に伴う診療報酬の増収で除却までに投資を上回る収益が得られると考えている」と述べた。