直江津捕虜収容所での悲劇繰り返さない 上越市で「平和の集い」 小中学生もメッセージ

太平洋戦争中、直江津捕虜収容所で亡くなったオーストラリア兵らを追悼し、世界平和を願う「平和の集い」が2024年8月11日、新潟県上越市中央1の市レインボーセンターで開かれた。例年、川原町の平和記念公園で開かれてきたが、炎天下での実施を避けるため、昨年に続き屋内で開催された。関係者ら80人以上が出席した。

黙祷をささげる出席者たち

直江津捕虜収容所の悲劇を語り継ぎ、世界平和と国際親善に貢献するために活動している上越日豪協会(関勝代表)が主催した。同収容所ではオーストラリア兵捕虜300人が収容され、寒波や飢えなどの過酷な環境の中、60人が病死した。終戦後には収容所の日本人職員8人も戦犯として処刑され、「平和の集い」は過去の悲劇を風化させないために毎年開かれ、今年で開催30回目を迎えた。

上越日豪協会の関代表

会場では、同市の児童文学作家杉みき子さん作の詩「鎮魂」が朗読され、収容所に関わる犠牲者に対して出席者全員が黙とうを捧げたほか献花が行われた。

在日オーストラリア大使館のクリストファー・ジョンストン陸軍中佐が「生きている私たちの勇気、奉仕、人間性を示すことが亡くなった彼らの犠牲に敬意を示す一番の方法。(直江津での悲劇を)決して忘れない」などと語ったほか、「日豪協会の皆さん、直江津で亡くなった方をしのぶために尽力いただきありがとうございます」と感謝を述べた。

クリストファー・ジョンストン陸軍中佐

同市の広島平和記念式典中学生派遣事業で8月5日から広島を訪れた中学生、市立国府小の児童2人によるメッセージも発表された。児童たちは「平和記念公園は平和への思いをつないでいる大切な場所になっていることを誇りに思う。私たちは平和のために何ができるか。二度と悲しい出来事を繰り返したくない。自分たちに何ができるかこれから大人になっていく私たちがしっかりと考えていくことが大切。未来のために、平和をつないでいきたい」と発表した。

中学生、小学生も平和への思いを語った

会場には、直江津地区の小学生や市民が平和を願うメッセージを記した灯籠が並べられた。灯籠には亡くなった兵士らの名前も記されていた。

平和を願うメッセージを記した灯籠

関代表(82)は「たくさんの方に出席してもらえた。直江津であった日本とオーストラリアの悲劇を皆さんに知っていただきたい。これからも平和への活動を発信し続ける。後世に伝えてくことが大切」なと話した。