盲目の女性旅芸人「高田瞽女(ごぜ)」が共同生活をした新潟県上越市東本町4の町家の跡地について、NPO法人「高田瞽女の文化を保存・発信する会」(濁川清夏理事長)は2024年7月10日、市による保存と活用を中川幹太市長に要望した。全国から集めた1506人の署名を提出後、瞽女ミュージアム高田(東本町5)で関係者が報告会を開いた。
高田瞽女が暮らした町家は、最後の親方杉本キクイさん(1898〜1983)まで、3代の親方と弟子の瞽女たちが共同生活していた。キクイさんの死後、新たな所有者の手に渡り、ここ3年ほどは空き家となっていた。築150年が経過して老朽化が進み、今年4月下旬に解体撤去され、更地となった。
発信する会は、市が跡地を取得し保存と活用を図ってほしいと、5月3日から約2か月間、署名活動を展開した。この日の要望は非公開で行われ、同会によると、発足時から同会の会員でもある中川市長は「市として何ができるか考えていきたい」と答えたという。
濁川理事長は「何とか場所だけでも高田瞽女ゆかりの地として残したい。できれば土地を市に取得してもらい、公園や記念碑など、誰が来ても昔瞽女さんが住んでいたと分かるようにしたい」と話した。
市長要望と報告会に同席した国立民族学博物館(大阪府吹田市)の広瀬浩二郎教授は「(杉本家のあった地は)瞽女の文化遺産であり、維持して発展させ、高田から日本や世界にアピールしていってほしい」と語った。
旧杉本家跡地の場所