20年かけて手作りした木造ヨットが完成 有間川漁港で進水式

新潟県上越市中門前3の医師、江塚勇さん(74)が20年の年月をかけて手作りした木造ヨット(クルーザー)が完成し2015年8月8日、同市の有間川漁港でお披露目を兼ねた進水式が行われた。友人ら約100人が詰め掛け、快挙を祝った。

ヨット作りを手伝った仲間と完成を祝った。江塚さんは右から2人目
ヨットS

ヨットは総トン数2.8トン、全長9m、幅2.8m、マストの高さ11m。船外機を載せ、約7ノットの早さで航行する。船体の木材はマホガニー、デッキはチーク、マストはスプルースを使い、落ち着いた優雅な外観を持つ。

ヨットは、製作していた自宅ガレージ内から、7月30日に有間川漁港へ運搬。マスト(柱)やセール(帆)などを取り付けた後、今月3日に検査に合格し、無事着水を済ませた。

約100人が祝った進水式
お披露目

手作りならではの木製マストが美しい
木のマスト

8日に行われた進水式は、音楽仲間などが実行委員会(岩片一美委員長)を作り準備してきた。有志約15人によるバンドがエルガーの「威風堂々」を演奏する中、江塚さんが船体前部を覆っていた紅白の幕を引くと、船名の「Ezukizm(エヅキズム)」というネームプレートが現れた。その後、シャンパンセレモニー、船舶をつないでいる支綱を切断する儀式などが行われ、全員で乾杯をして進水を祝った。

江塚さんの船作りは、小型船舶ディンギー、カヌーに続いて3隻目。ヨット設計家の横山晃さんが設計した図面を基に、日曜を中心に年間平均50日を作業に費やし、約1000日をかけて完成した。「船体だけで10年かかった。あと5年でできるかと思っていたら、内装やキャビンの曲面に手間取った。作業を手伝ってくれた仲間がいたからモチベーションを維持できたと思う」と話す。

ヨットの船内
ヨット船内

江塚さんは多趣味で、音楽、登山、写真、天文、オーディオなどを楽しむだけでなく、精通していることで知られる。「とにかくとことんやるが、最後は運を天に任せる楽天的な性格」。そんな自己流の生き方を船名にした。「ガレージから出すときが一番感動した。ヨット作りは趣味の極致じゃないかな。今後は仲間と釣りなどを楽しみたい」と、日焼けした顔をほころばせた。

船体後部
後部