山鳥毛はないけれど… 上越市の歴史博物館7月にオープン 高田城の模型や町家再現

上越市教育委員会は歴史博物館へと改修工事中の同市立総合博物館(本城町)のリニューアル後の展示内容を2018年2月8日、明らかにした。目玉となるはずだった上杉謙信の愛刀で国宝の「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」は展示されないが、同市が所有する歴史資料をはじめ、高田城の模型や町家の再現、プロジェクションマッピングなども活用して地域の歴史を紹介する。リニューアルオープンは2018年7月21日。

総合博物館を改修してリニューアルオープンする歴史博物館の展示イメージ
歴史博物館展示イメージ

導入部となる1階ラウンジの床面全体には、現在の同市の5000分の1の航空写真を配置する。28区の地域自治区ごとにQRコードがあり、スマートフォンなどを使って文化財や史跡などの歴史情報を手に入れることができる。

メインの2階の常設展示は5章構成で、直江津にあった中世越後国府から春日山、福島、高田へと「越後の都」が変遷していく様子や、高田藩の城下町の発展や明治維新以降の街の変化などを紹介する。写真や図版を交えた壁面の通史パネルで歴史の流れを解説し、要所に展示ケースを配置して歴史資料を置く。歴史資料は同市が所有する実物資料を中心に全体で約40〜50点を展示する予定だ。

常設展示のうち、第1章「越後の都」では、直江津から高田の地形模型に越後の都の変遷の物語をプロジェクションマッピングで投影する。「山鳥毛」を展示予定だった展示ケースには、謙信が愛宕神社(国府1)に奉納したと伝わる軍配(市指定文化財)や謙信ゆかりの笛、謙信、景勝の書状などを展示する。山鳥毛は、市が所有者と交渉してきたが価格が折り合わず、昨年取得を断念した。

第2章「徳川の城」では、江戸中期の高田城の模型と床面に同時代の城下町の絵図を展開し、QRコードで町名や寺社の由来を知ることができる。第5章「雪国とくらしと民俗」では、雁木通りの町家を再現。町家のガラス戸を展示ケースに見立てて雪下駄を展示するほか、高田瞽女の紹介や高田瞽女をテーマにした作品で知られる画家、斎藤真一の絵画も展示する。

改修工事は3月末に完了する。市教委によると、リニューアルオープン後の来年度は、日本ワイン葡萄の父、川上善兵衛生誕150年や戊辰戦争150年を記念した企画展の開催を計画している。

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