約350年前の「時の鐘」 高田の町に響き渡る

高田城下に時刻を知らせるため約350年前に作られた上越市文化財の「時の鐘」が2014年7月5日正午、高田開府400年祭を記念して鳴らされた。鐘が設置されている新潟県上越市南本町3の瑞泉寺で、井上照裕住職が力強くつくと、昔は日本海まで届いたと言われる美しい鐘の音が高田の町に響き渡った。(動画でいにしえの響きをお聞きください)

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鐘は1669年(寛文9年)、高田城主松平光長の母、高田姫勝子が高田城下に時を知らせるため、鍋屋町(現在の東本町5)の鋳物師、土肥佐兵衛に鋳造させた。元は呉服町(現在の大町2)の町年寄、吉田七兵衛の屋敷に置かれた。当時は昼夜12回鳴らされたが、音色が良く、「越後高田にすぎたるものは、犬、寺、道心(仏教徒)、時の鐘」とうたわれたほどだった。

瑞泉寺の鐘楼は明治初期の火災で焼け落ちてしまったため、時計としての役目を終えていた「時の鐘」を譲り受けた。歴史のある鐘なので、太平洋戦争末期の金属の供出も免れたという。現在は法要と時の記念日、大晦日、正月三が日にのみ、つかれているという。
 鐘は瑞泉寺のほか、寺町などの11寺でも正午と午後2時の2回に鳴らされた。

「時の鐘」の動画