"日本一古い"という妙高市の「スキー神社」の不思議

新潟県妙高市関川の星野公園には、「日本で最も古いスキー神社」というキャッチフレーズの神社がある。そもそも「スキー神社」自体が珍しいと思うのだが、果たして全国にも存在しているのだろうか。さらには、スキー登山による我が国最初のスキー犠牲者が、祭神としてまつられているのも不思議。2013年12月15日に行われた「スキー神社祭」に行ってみた。

妙高市のスキー神社の鳥居
torii

「スキー神社祭」は、妙高市観光協会と妙高スキークラブが主催して毎年行っている。神事には、観光協会、各地の区長、旅館組合、商工会、スキーリフト会社、小・中学校関係者、スキークラブなど、100人ほどが参列し、スキーによる事故がないよう祈願した。続いて、テープカット、地元園児の初滑りなどが行われ、最後は名物のスキー汁がふるまわれた。

スキー神社の神事
sinji

妙高高原町史によると、スキー神社は、1932年(昭和7年)に、妙高スキークラブが殿下スロープ(現妙高中学校グラウンド)に建立した。翌1933年1月5日に御鎮座祭が行われ、以後毎年祭典を行っている。1940年(昭和15年)2月の豪雪で社殿が倒壊し、翌年に現在地の星野公園に移した。1981年(昭和56年)に木造社殿に改築し、呼び名を「日本一の宮 スキー神社」に改めた。

祭神をまつる祠
hokora

祭神は「高雷神(雪、雨の神)」「闇雷神(同)「少彦名神(医薬・温泉の神)」、そして「酒井薫命(日本で初めてのスキー犠牲者)」である。酒井薫氏は、日本スキー倶楽部(高田)のメンバーとして1914年(大正3年)1月5日、富士山のスキー登山に挑んだ。七合五勺付近で、スキーをアイゼンにはき替えて登はん中、足を滑らせて転落し死亡した。「日本スキー発達史」(山崎紫峰著)は「我が国に於けるスキー登山の初犠牲者」と記している。

さて、スキー神社は新潟県妙高市のほかにあるのだろうか。ネット上で検索した結果、4県に計5か所のスキー神社があった。

【新潟県】

湯沢町「布場スキー場」のスキー神社
・湯沢のスキー発祥の地、布場スキー場の中腹にある。1976年(昭和51年)にスキーヤーの安全と産業の発展を願って建立された。祭神は雪艇湧現明神。祭礼は、毎年スキー場開きの12月12日に開催している。

【長野県】

木曽郡木祖村「やぶはら高原スキー場」の薮原スキー神社
センターハウス向かいにある。スキー場オープン前に、安全祈願祭が行われる。

山ノ内町「北志賀小丸山スキー場」のスキー神社
第1ペアリフト横にスキー神社がある。

【山形県】

最上町の「やまがた赤倉温泉」のスキー神社
山形県と宮城県の県境近く、大森山の北斜面に開かれた雪質の良いスキー場。スキーヤーの安全と上達を祈願して建立された。

【青森県】

大鰐町「大鰐温泉スキー場」のスキー神社
100年のスキーの歴史を持つ大鰐温泉スキー場の利用者の安全を祈願し、1935年(昭和10年)1月24日に建立された。神社には大鰐スキー倶楽部の歴代会長やスキー功労者が合祀されている。毎年、同倶楽部がシーズン前にスキー神社祭を行っている。

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