川上善兵衛のマスカット・ベーリーA 国際機関が品種登録

新潟県上越市北方の岩の原葡萄園の創業者で「日本ワインぶどうの父」と言われる川上善兵衛(1868 1944 年)が作り出した赤ワイン用のブドウ品種、マスカット・ベーリーAが国際ブドウ・ワイン機構(OIV、本部・パリ)の品種に登録された。日本固有の醸造用ブドウ品種では白ワイン用「甲州」に続いて2品種目。ワインのラベルに品種名を表示して欧州に輸出できるようになる。

マスカット・ベーリーAは善兵衛が1927年に米国系の「ベーリー」と欧州系の「マスカット・ハンブルク」を交雑して生み出した。善兵衛が1万を超えるブドウの品種交雑を行って作り出した22の優良品種のうちの一つ。

現在ではブドウ生産日本一の山梨県など全国各地で生産されている。農林水産省の統計によると、2006年度の国内収穫量は1万1700トンでブドウの品種別では4番目に多い。イチゴ系の甘い香りで、赤ワインにすると柔らかい口当たりになるという。同葡萄園ではマスカット・ベーリーAを年間42~45トン生産している。

OIVには、山梨県ワイン酒造組合や山梨県果樹試験所が情報を取りまとめ、独立行政法人酒類総合研究所(東広島市)を通じて2月に登録を申請した。同葡萄園も同品種の母樹の枝や葉を提供するなどして協力。6月のOIV総会で承認され、登録された。

国際ブドウ・ワイン機構に登録されたマスカット・ベーリーA(岩の原葡萄園提供)
iwanohara

同葡萄園の坂田敏社長は7月17日に上越市役所で記者会見した。同葡萄園では今のところ輸出する予定はないというが「川上善兵衛のやってきたことが認知されうれしい。登録品種にはフランスの品種など認知度の高い品種が並んでいる。そのブドウとそん色ないものを作っていることを生産農家が誇りに持ち、ブドウやワインの品質向上につながるきっかけになってほしい」と話した。

↓岩の原葡萄園の公式サイト
http://www.iwanohara.sgn.ne.jp/