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◇「上越野菜」振興協議会が誕生


 上越地域で古くから栽培されてきた「高田シロウリ」「ばななカボチャ」「仁野分(にのぶ)しょうが」「頸城オクラ」など、絶滅寸前の野菜を含む13品目を「上越野菜」に認定し、生産者をはじめ飲食店、食品加工業者、流通業者が一体になった地域ブランドを育てていく組織「『上越野菜』振興協議会」が、2010年3月10日にできました。

 大量に生産され市場で流通する一般的な野菜に対し、日本には地域の気候や風土に根ざして古くから栽培された野菜が多くあります。これらの野菜は「伝統野菜」や「地方野菜」と呼ばれますが、手間がかかること、大きさがふぞろいで規格を重視する流通に乗りづらいことから、次第に生産が縮小していきました。しかし、近年の地産地消、スローフード、食育運動の高まりにより、全国で復活・普及する取り組みが盛んになっています。

◇県内では2番目の取り組み


 京都の「京の伝統野菜」、大阪のなにわ野菜、奈良の大和野菜、石川の加賀野菜などが知られていますが、県内では信濃川流域の肥沃な土壌で育った「長岡野菜」が先駆けです。1998年に研究会として取り組みが始まり、その後に長岡野菜ブランド協会として活動を始めました。野菜13種類を認定し、料理コンテストなど地道な努力を続けた結果、長岡巾着ナス、かぐらなんばんなど、全国的に知られるブランドも育っています。

 上越市での取り組みは2009年5月、市の呼びかけにより、「上越伝統野菜普及検討委員会」が設置され、4回にわたる会議で検討してきました。3月10日に行われた「『上越野菜』振興協議会」設立総会には、上越の青果関係者やJA、調理師協会、料亭、食品加工業者が参加。会長に上越青果の杉山榮一社長を選びました。

 上越野菜は県内で2番目の取り組みです。

↓「上越野菜」振興協議会設立総会
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◇上越野菜って?


 「上越野菜」とは、上越市で古くから栽培されてきた「伝統野菜」と、一定の出荷量と品質を満たした「上越特産野菜」を含む総称で、上越市の風土に合い、上越市の生産者が栽培していることなどが条件です。

 今後は、認証マークが付いた伝統野菜をJAや市場に流通させるとともに、加工品の開発、料理レシピやリーフレットの作成などを行います。生産者や消費者に広くピーアールし、最終的には全国的に認知される地域ブランドを目指します。

 組織の発足にあたり「高田シロウリ」「仁野分しょうが」など、絶滅寸前の野菜を含む伝統野菜11品目、オータームポエムなど特産野菜2品目の計13品目が認定されました。



【上越伝統野菜】


◇高田シロウリ(高土町、東本町)
 古くから栽培され、謙信公も食べたとされる、こん棒状の果形が特徴のシロウリ。長さは30cm前後。奈良漬の原料として定評がある。採種地は陀羅尼(北本町3丁目)、中屋敷(高土町)。現在は東本町などで細々と作られているにすぎない。上越青果小売商業協同組合の平澤正一副理事長は「昭和40年ごろまでは広く栽培されていた。パリパリというより、サクサクとした食感で、お年寄りも食べやすい」と話していた。

↓高田シロウリ
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仁野分しょうが(頸城区仁野分)
 天和3年(1683年)に京に出向いた農民がショウガの根を持ち帰り自宅の畑に植えたことが起源とされる。その後、絶滅してしまったが、三河産のショウガに切り替えた。高田藩城主に献上されるなど、当時の有名ブランドだった。
生のまま細くスライスして、みそをつけて酒のつまみにしたり、生姜酒、生姜酢、生姜茶、生姜湯、生姜漬などにする。
↓仁野分しょうが
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みょうが(上正善寺、東頸城など)
 上正善寺を中心に古くから生産され、かつては東京からトラックで買い付けにきたほどの生産量があった。根茎腐敗病の発生で絶滅しかかったこともある。東頸城では棚畑(たなばた)みょうがが知られている。
↓上正善寺のミョウガ
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頸城オクラ(頸城区)
 日本では歴史が浅い野菜だが、1969年に同区(旧頸城村)の吉田祐治氏が輸入種から選抜して新品種を作り上げた。大型の品種で、1970年から市場に出荷し高値で取り引きされたという。15年にわたって独特の地方品種としての地位を保っていたが、小型わい性種が流行したため、栽培されなくなった。
↓右が頸城オクラ、左はアーリーファイブ
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オニゴショウ(牧区)
 上越地方では唐辛子のことをコショウと呼ぶ。ピーマン型の辛唐辛子で、長岡野菜の「かぐらなんばん」と同じ。ぼたっとした形をしていることから、ボタゴショウ、ブタコショウ、デブコショウなどとも呼ばれている。
半分に切って焼き、塩やみそを付けて食べたり、天ぷらにするのが普通だが、野菜炒めに入れたり、みそ炒めにもする。酒のつまみに最適で、「1個で酒1升飲める」と言わるほど。飛び上がるほどの辛さのものもあれば、辛味が薄いものなどさまざま。野菜の直売場のほか、上越市や妙高市の朝市でも並ぶ。
牧区で作っている香辛料「ぴりっ子」の原材料にもなっている。
↓オニゴショウ
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ばななカボチャ(安塚区、牧区、浦川原区)
 最近は、東頸城の野菜直売所で見かけることが多くなった。戦後の食糧難の時期にたくさん作られたという。自家採種により栽培が続けられたため次第に雑交配が進み、栽培農家が減って絶滅寸前となっていた。きめ細かな肉質で味がいいが、煮崩れしやすいという。
↓ばなな南瓜
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なますカボチャ<金糸瓜>(上越市内)
 19世紀末、中国から導入された「覚糸(かくし)うり」がルーツ。そうめんうり、なますうり、そうめんかぼちゃ、糸うりとも呼ばれる。
ウリ科カボチャ属のペポカボチャの一種で、ズッキーニなどと近い仲間。7~9月に収穫され、冬まで貯蔵できる。
ゆでると果肉がそうめん状にほぐれるのが特徴。三杯酢などにして食べるほか、みそ漬けにもする。
↓なますカボチャ
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曲がりネギ(上越市内)
まっすぐ植えた苗を途中で植え替え、斜めに伏せて育てる。立ちネギよりも甘みが強いといわれているが、手間がかかるため現在は出荷されていない。

ずいき(上越市内)
ズイキの名の由来には、臨済宗の僧、夢窓疎石がイモの葉の梅雨を随喜の涙に例えてよんだ歌にちなむという説と、皮をむいて食べるのでイモの中心(髄)から出た茎という説がある。

とうな(上越市内)
春一番に出回る野菜で、上越地域ではホウレンソウ以上に人気がある。
魚沼地方の「大崎菜」、新潟市近郊の「女池菜」も、同じとう菜である。

ひとくちまくわ(上越市内)
古くから柿崎地区で栽培されていたまくわ。小さい玉型で、一口で食べられるくらいの大きさ。

【上越特産野菜】


なす<越の丸・新潟黒十全ほか>(上越市内)
「越の丸ナス」は、在来種ではなく、新潟県園芸試験場で育成された。
「新潟黒十全ナス」はにいがた十全ナスをもとに、新潟の種苗会社が品種改良した。

オータムポエム(上越市内)
コウサイタイとサイシンという菜花をもとに品種改良された、とう菜の一種。とう立ちした茎葉とつぼみを食べる野菜。上越地域では1992年に旧清里村の生産者が栽培を始めた。以来、上越地域の重点品目として産地拡大、品質向上に向けた取り組みが行われている。太い茎がアスパラガスのようで、食感も似ているので「アスパラ菜」とも呼ばれる。

↓オータムポエム"
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【料理の例】


とう菜のおひたし、オータムポエムのおひたし
なますカボチャのみそ漬け、オニゴショウの塩漬け
(左上から右下へ)
↓料理の例1
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オータムポエム、オニゴショウ、マイカ、妙高ゆきエビのピリ辛炒め
↓料理の例2
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ズイキ、油揚げ、打豆の炒め物(上)
ミョウガの手まり寿司(左下)

↓料理の例3
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